2005年 04月 13日
常任理事国拡大に反対する国家の集い |
昨日取り上げた「常任理事国の拡大に反対する国家の集い」であるが、読売では夕刊の一面に大きく取り上げられた。
読売「安保理拡大「反対集会」、予想上回る116か国参加」
【ニューヨーク=白川義和】日本、ドイツ、インド、ブラジルの4か国グループの国連安全保障理事会常任理事国入りに反対するイタリア、韓国、パキスタンなどのグループが11日、ニューヨーク市内のホテルで初の大規模集会を開き、「国連や安保理の改革は合意を通じて行うべきだ」と訴えた。
集会には、事前の予想を大きく上回る116か国が参加し、安保理拡大の「抵抗勢力」が勢いを増していることを見せつけた。
「総意のための結集」と題された集会には、常任理事国の米中露も参加、英仏は欠席した。日本などには招待状も送られなかった模様だ。4か国グループは先月31日の集会で約130か国を集めているが、ほぼ拮抗(きっこう)する結果となった。米国や中国が先週の国連総会での演説で、反対グループと同じ主張の「合意重視」、「改革期限設定の反対」を唱えたことから、様子見をしていた国が一気に参加に傾いたとみられる。
韓国の国連代表部筋は「当初は70か国程度の参加を予想していたが、米中の演説で流れが変わり、大幅に増えた」と語った。
集会を主導したイタリアは、フィーニ外相も会場に駆けつけ、「貧困や開発問題などを放置したまま、安保理拡大だけに焦点を当てるべきではない」と強調。途上国が抱える問題を重視することで幅広い支持を集め、「改革つぶし」の批判をかわそうとの狙いをのぞかせた。
安保理拡大を盛り込んだ決議の採択には、国連加盟191か国の3分の2を満たす128票を獲得することが必要となる。アナン国連事務総長は安保理改革をめぐる勧告で、9月の国連首脳会合までに結論を出すよう求め、「総意」にこだわることで改革が先送りされる事態は避けるべきだと訴えている。
他紙も見てみる。
毎日「拡大反対グループが会合 119カ国が参加」
産経「安保理拡大 「早急な改革反対」 会合に119カ国・機関」
日経「国連安保理の常任理拡大反対派、支持求めNYで会合」
まず参加国数が違う。116カ国なのか119カ国なのか?どうも産経には「119カ国・機関」とあり、この「機関」がどこを指すのかは不明ながら、産経が一番詳しそうである。あえて産経の記事も掲載しておこう。
【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会の常任理事国拡大に反対するイタリア、パキスタン、韓国など反対派九カ国は十一日午後、「関心国会合」をニューヨーク市内のホテルで開いた。常任理事国の米中露をはじめ北朝鮮など百十九カ国・機関の代表が参加した。
会合には、常任理事国入りを目指して共闘する日本、ドイツ、ブラジル、インドの四カ国グループ(G4)は招待されなかった。
主催の九カ国はそれぞれ本国から外相級の責任者が参加、イタリアのフィーニ外相は「もっとも幅広い合意を得られる改革案について柔軟に話し合っていきたいが、早急な改革には反対だ。九月の首脳会合で安保理改革が主眼になることには賛成しない」と述べた。米国が七日の総会特別会合で行った演説と同趣旨の「改革慎重論」だ。
また、韓国の千英宇・外交通商省外交政策室長も「安保理改革という重要な問題は対決的な状況で決められるべきではない。きょうの会合のメッセージは先を急ぎすぎる国に対して向けたものでもある」と日本などの動きを強く牽制(けんせい)した。
千氏はさらに、アナン事務総長が加盟国に促した期限設定に対して米中が反対したことを歓迎する姿勢を表明した。百九十一カ国もの総意形成が可能かどうかについては「G4次第だ」と述べ、G4側に譲歩を迫るとともに、任期四年の準常任理事国新設案が「最も民主的」とし、支持することを改めて強調した。
G4は三月三十一日、支持拡大を目指した会合を開催し、約百三十カ国が参加した。
この両紙からわかることは、主催国が「常任理事国拡大に反対するイタリア、パキスタン、韓国など反対派九カ国」ということである。参加国であるが「常任理事国の米中露」が出席とある。読売は、この3カ国はオブザーバーという理解で、数に数えなかったのかも知れない。また産経にある「関心国会合」という言葉が気になる。で、とりあえず、The New York Times の記事を見てみた。
これは登録制なのでアドレスは載せないが、「 Nations Lobby for U.N. Council Reform 」というかなり詳しい記事が出ている。冒頭の部分は、以下の通りである。
NEW YORK (AP) -- Italy, Mexico, and Pakistan lobbied for a U.N. Security Council reform plan that would add eight semi-permanent seats to the powerful body and divide them among nations from Asia, Africa, Europe and the Americas.
Officials from the three nations, joined by South Korea, Spain and a handful of other countries, said they would push their plan for as long as it takes -- putting them on a collision course with Brazil, Germany, India and Japan who are pushing a rival plan to add six permanent seats to the council.
これによれば、イタリア、メキシコ、パキスタンが中心となり、そこに韓国とスペイン他が参加した、という形となっている。なお参加国は、この記事でもよくわからない。ただしわかる限りで、上記、イタリア、メキシコ、パキスタン、韓国、スペインの他には、アルバニア、アルゼンチン、コロンビア、サン・マリノが出たことは確かなようだ。
前エントリーでも触れたが、筆者は、常任理事国入りは、日本外交が是非とも達成すべき課題であると考えている。しかし敵国条項がいまだに生きている国連という組織の中で、国連負担金についてだけは、「敵国」である日本も、国民総所得(GNI)に基づいた割り当てで分担される。しかもアメリカだけは、負担金が大きくなりすぎる?という理由で、22パーセント止まり。日本だけは正直に20パーセントを払っている。
外務省はこのことをどう外国に正しく認識させるつもりなのか?この負担を日本が拒否あるいは滞納し、その負担を中国に任せるようにできれば、温家宝ごときは、軽い調子で反対の発言などできなくなろう。国連憲章が唱っている「滞納制度」(国連憲章第19条・昨12日付本ブログ参照)をうまく利用することも、大きな選択枝であろう。
もとより日本の常任理事国入りが悲願だとはいえ、重要なことは国連を使えるものに改革することでもある。常任理事国入りが困難なら、現状の常任理事国を引きずり降ろす運動もあり得よう。
まずは、外交官の皆様へ!「外国で自分がいい顔しよう」という発想だけは、絶対持たないでくださいね。
読売「安保理拡大「反対集会」、予想上回る116か国参加」
【ニューヨーク=白川義和】日本、ドイツ、インド、ブラジルの4か国グループの国連安全保障理事会常任理事国入りに反対するイタリア、韓国、パキスタンなどのグループが11日、ニューヨーク市内のホテルで初の大規模集会を開き、「国連や安保理の改革は合意を通じて行うべきだ」と訴えた。
集会には、事前の予想を大きく上回る116か国が参加し、安保理拡大の「抵抗勢力」が勢いを増していることを見せつけた。
「総意のための結集」と題された集会には、常任理事国の米中露も参加、英仏は欠席した。日本などには招待状も送られなかった模様だ。4か国グループは先月31日の集会で約130か国を集めているが、ほぼ拮抗(きっこう)する結果となった。米国や中国が先週の国連総会での演説で、反対グループと同じ主張の「合意重視」、「改革期限設定の反対」を唱えたことから、様子見をしていた国が一気に参加に傾いたとみられる。
韓国の国連代表部筋は「当初は70か国程度の参加を予想していたが、米中の演説で流れが変わり、大幅に増えた」と語った。
集会を主導したイタリアは、フィーニ外相も会場に駆けつけ、「貧困や開発問題などを放置したまま、安保理拡大だけに焦点を当てるべきではない」と強調。途上国が抱える問題を重視することで幅広い支持を集め、「改革つぶし」の批判をかわそうとの狙いをのぞかせた。
安保理拡大を盛り込んだ決議の採択には、国連加盟191か国の3分の2を満たす128票を獲得することが必要となる。アナン国連事務総長は安保理改革をめぐる勧告で、9月の国連首脳会合までに結論を出すよう求め、「総意」にこだわることで改革が先送りされる事態は避けるべきだと訴えている。
他紙も見てみる。
毎日「拡大反対グループが会合 119カ国が参加」
産経「安保理拡大 「早急な改革反対」 会合に119カ国・機関」
日経「国連安保理の常任理拡大反対派、支持求めNYで会合」
まず参加国数が違う。116カ国なのか119カ国なのか?どうも産経には「119カ国・機関」とあり、この「機関」がどこを指すのかは不明ながら、産経が一番詳しそうである。あえて産経の記事も掲載しておこう。
【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会の常任理事国拡大に反対するイタリア、パキスタン、韓国など反対派九カ国は十一日午後、「関心国会合」をニューヨーク市内のホテルで開いた。常任理事国の米中露をはじめ北朝鮮など百十九カ国・機関の代表が参加した。
会合には、常任理事国入りを目指して共闘する日本、ドイツ、ブラジル、インドの四カ国グループ(G4)は招待されなかった。
主催の九カ国はそれぞれ本国から外相級の責任者が参加、イタリアのフィーニ外相は「もっとも幅広い合意を得られる改革案について柔軟に話し合っていきたいが、早急な改革には反対だ。九月の首脳会合で安保理改革が主眼になることには賛成しない」と述べた。米国が七日の総会特別会合で行った演説と同趣旨の「改革慎重論」だ。
また、韓国の千英宇・外交通商省外交政策室長も「安保理改革という重要な問題は対決的な状況で決められるべきではない。きょうの会合のメッセージは先を急ぎすぎる国に対して向けたものでもある」と日本などの動きを強く牽制(けんせい)した。
千氏はさらに、アナン事務総長が加盟国に促した期限設定に対して米中が反対したことを歓迎する姿勢を表明した。百九十一カ国もの総意形成が可能かどうかについては「G4次第だ」と述べ、G4側に譲歩を迫るとともに、任期四年の準常任理事国新設案が「最も民主的」とし、支持することを改めて強調した。
G4は三月三十一日、支持拡大を目指した会合を開催し、約百三十カ国が参加した。
この両紙からわかることは、主催国が「常任理事国拡大に反対するイタリア、パキスタン、韓国など反対派九カ国」ということである。参加国であるが「常任理事国の米中露」が出席とある。読売は、この3カ国はオブザーバーという理解で、数に数えなかったのかも知れない。また産経にある「関心国会合」という言葉が気になる。で、とりあえず、The New York Times の記事を見てみた。
これは登録制なのでアドレスは載せないが、「 Nations Lobby for U.N. Council Reform 」というかなり詳しい記事が出ている。冒頭の部分は、以下の通りである。
NEW YORK (AP) -- Italy, Mexico, and Pakistan lobbied for a U.N. Security Council reform plan that would add eight semi-permanent seats to the powerful body and divide them among nations from Asia, Africa, Europe and the Americas.
Officials from the three nations, joined by South Korea, Spain and a handful of other countries, said they would push their plan for as long as it takes -- putting them on a collision course with Brazil, Germany, India and Japan who are pushing a rival plan to add six permanent seats to the council.
これによれば、イタリア、メキシコ、パキスタンが中心となり、そこに韓国とスペイン他が参加した、という形となっている。なお参加国は、この記事でもよくわからない。ただしわかる限りで、上記、イタリア、メキシコ、パキスタン、韓国、スペインの他には、アルバニア、アルゼンチン、コロンビア、サン・マリノが出たことは確かなようだ。
前エントリーでも触れたが、筆者は、常任理事国入りは、日本外交が是非とも達成すべき課題であると考えている。しかし敵国条項がいまだに生きている国連という組織の中で、国連負担金についてだけは、「敵国」である日本も、国民総所得(GNI)に基づいた割り当てで分担される。しかもアメリカだけは、負担金が大きくなりすぎる?という理由で、22パーセント止まり。日本だけは正直に20パーセントを払っている。
外務省はこのことをどう外国に正しく認識させるつもりなのか?この負担を日本が拒否あるいは滞納し、その負担を中国に任せるようにできれば、温家宝ごときは、軽い調子で反対の発言などできなくなろう。国連憲章が唱っている「滞納制度」(国連憲章第19条・昨12日付本ブログ参照)をうまく利用することも、大きな選択枝であろう。
もとより日本の常任理事国入りが悲願だとはいえ、重要なことは国連を使えるものに改革することでもある。常任理事国入りが困難なら、現状の常任理事国を引きずり降ろす運動もあり得よう。
まずは、外交官の皆様へ!「外国で自分がいい顔しよう」という発想だけは、絶対持たないでくださいね。
by mt.planter
| 2005-04-13 00:11